ほんとは知らない徴用工問題〜補償と賠償の違い〜
日韓の「徴用工問題」は太平洋戦争中に、韓国人を強制労働させた問題。
こういうことですが、内容の理解としては少し足りないところがあります。
徴用工について話すときは、「賠償」という言葉を使ってはいけません。
その理由を説明します。
まず、賠償と補償の意味の違いに注目してみます。
「賠償」と「補償」の意味の違いはなんなのでしょうか。
細かい言葉の違いで、問題の本質に関係ないと思われがちですが、問題の本質に大きく関わります。
賠償や補償の有る無しの問題の他に、重大な問題が隠れています。
それは、日本の戦争犯罪の有無です。
慰安婦問題でも同じです。
賠償と補償という言葉は、日常用語ではあまり区別しません。
両方同じ意味合いで使われているからですが、こと外交や法律の側面では、全く異なる概念なのですね。
結論を分かりやすくいうと、「賠償」は、その前提がいわゆる違法な犯罪という意味を含みます。
「補償」の場合、物事の良し悪しの価値判断はあまり含まず、お金の清算という意味を含みます。
さらに説明すると、夫婦の離婚を例えにします。
離婚した夫婦の間で、争いが発生したとします。
問題の1つ目は、婚姻中のDVの問題
問題の2つ目は、離婚の財産分与の問題
①離婚して、DVの賠償をしてもらう。
この場合、犯罪行為について責任のある当事者が被害者に、慰謝料を払う。
②離婚するので婚姻中に一体となっていた財産を2つに分ける。
婚姻中に共働きで住宅ローンを支払った。
1つのマンションを金銭に見積もって半分ずつに分けないといけない。
分かりますでしょうか。
徴用工問題は、補償の問題です。
単に、日韓併合中に日本人であった者の労働のお給料の問題です。
給料が払われていない場合、その間に、日韓が2つの国に分かれてしまい、韓国籍になってしまった労働者が、未払いの給料をどこに支払ってもらうべきか。
これが、1965年に日韓請求権協定で定められた内容です。
賠償と補償は、同じような言葉で実は大きな違いがあり、「日本に賠償責任はない」という言い方は、その前提に、日本が韓国人を強制労働させた問題について話している、という意味を含んでしまいます。
ニュースを注意深く見てみましょう。
日韓基本条約によって徴用工に対する補償は、韓国政府の責任である。
こう書いてあるはずです。
言葉使いを誤用して、日本に賠償責任はない、という言い方をしている人がいますが、暗に、日韓に強制労働問題が存在するということを前提にした言い方になってしまっています。
賠償という言葉には、違法に与えた損害を金銭で穴埋めする。すなわち、悪いことが行われた、という意味をふくむのだ、ということを知ってほしいと思います。